マルクの眼

千字一夜

冬去りて なにやらゆかし Loading


彼氏と音信不通になって四日が経つ。
今回はどうにも事情ありげなので、とにかく待つことにした。

これについて、当事者でもないのにわけ知り顔に語るのもおぞましく、我こそは浅はかで御座いと口上を述べるようで見ていられない。

ややもすると、個人のことや当人同士のこと、知りもしないし問われてもいないのに立ち入ってしまいがちだ。我が振り直すためにも反面教師として見るべき価値がある。残念ながら。

平素から待たされることを憎みこそすれ、待つこと自体は得意なので、主人の帰りを待つ妻のように貞淑に暮らそうと思う。
ちょうど年度末と年度始めの仕事が加速度的に忙しくなる時期が重なって、待つ環境は整っている。

最初こそ気が気でなかったけど、類推できる程度に事情がうっすら分かったので、長く付き合うならこういうこともあるのかな〜という気持ちになってきた。ライフイベント的に彼氏と音信不通を楽しもうか。

他方で、こちらが気持ちを変えずに待ち続けたとして、あちらが帰ってきたときに同じ気持ちある保証はない。私がいくら慎み深く待っていたとしても、相手の気持ちが変わったなら縛ることもできない。

年をとったのか、そういう悪い可能性や不安を感じて身構えてしまう。そしてそれに備えて筋トレを続けている。もし捨てられたとしても替えがきく様に、リスクを最小限に抑える為に。

無事に戻って恋愛が続いたとしても筋肉は害にならないし、むしろ余計な考えをする時間が減ったりストレス解消にもなるので待ち時間と筋トレの相性はよいと思った。

いつになるか分からない恋人の帰りを待ち、無事を祈りつつ体を鍛える現代の舞姫こと私。
悲劇的でとてもいい。