マルクの眼

千字一夜

2018-01-01から1年間の記事一覧

新訳山月記

同性愛者の遼介は博学多才、中学二年次 県美術コンクールで入賞、高校は地方の進学校に入学し吹奏楽に励んだが、性格は傲慢、自尊心が強く、サラリーマンで人生を終えることを潔しとしなかった。芸術の道へ進むと決めた後は、都内の有名美術大学へ進学し、ひ…

失われていくもの

古く土葬の風習は全国にあり、薪など燃し木の入手し難く、また高価であった地域に於いては火葬よりも深く暮らしに根付いていた。火葬場の本格的な普及は戦後であり、都市部の人口増加に対応してのことである。加えて、住民の退去した被差別部落跡地の利用を…

流されていくこと

街の灯りが綺麗なのは、人の命を燃やしているからだと言う。言ったのは私だ。 "何気ない日常"という言葉で括られない人生のうちの貴重な1日をただ無為に過ごすことに罪悪感を覚えられるのは我々の感性が人工知能より勝れている点だろうか。 流転しなければな…