マルクの眼

千字一夜

心中穏やかでない


穏やかに生きる私の妨げになるものを心の中で抹殺する穏やかじゃなさ。

アビーチーになりたい。嫌な仕事をドタキャンしても、良いものを世に出せばお金を手に入れられる存在になりたい。そう考えると凄すぎか、アビーチー。
先日、今年は来るのかな…と、チラリと期待したけど、今は「アイツはどうせ来ないよ、そーゆーヤツだもん。」って揺るがない結論を出した。アビーチーなんていない。アビーチーは親がやってる。

ゲス川谷もそう。
ぼそぼそファンに謝って泣けば黄色い悲鳴があがる。曲も売れる。女は干されてもバンドは売れる。そんなのエオンし放題じゃん。エオンエオンだよ。まじ。

汝水のほとりに泊った夜のこと、一睡してから、ふと眼を覚ますと、戸外で誰かが我が名を呼んでいる。声に応じて外へ出て見ると、声は闇の中からしきりに自分を招く。覚えず、自分は声を追うて走り出した。無我夢中で駈けて行く中に、何時しか途は山林に入り、しかも、知らぬ間に自分は左右の手で地をつかんで走っていた。何か身体中に力が充ち満ちたような感じで、軽々と岩石を跳び越えて行った。気が付くと、手先や肱のあたりに毛を生じているらしい。
少し明るくなってから、谷川に臨んで姿を映して見ると、既にアビーチーとなっていた。
ヘイ!


人が人を裏切れるのは若いうちだけで、歳をとるほどに相手のことを考え気がひけて腰が重くなると思う。海援隊よろしく、人は悲しみが多いほど人には優しくできると思っているし。年齢分くらいは。
だから逆に、妙齢でエオンしてる人間は大抵精神が未発達で頭が悪い。暮れなずむ町の光と影の中に消えろ。

20代半ばを過ぎても大学生ノリでウェイするゲイピポがあちこちでエオンしてるのもそう。
わっきゃエオンするうちは楽しいでしょうよ。でもそのうち居場所を失くす。居場所がないと生きていけないのに居場所を壊してしまう哀れさ。力をコントロールできないトロールじゃあるまいし性欲くらい抑えられないのかな。
壊れそうなものばかり集めても許されるのは10代までだけど、「こちとら10代から性欲トロールでござんす」って御仁もいるからタチが悪い。いやタチはいいんだろうけど。

「はいはい、お盛んな人が偉いお盛んな人が偉い」って安っぽくゲイ界に絶望して久保田早紀になり、あとは悲しみをもて余す異邦人として生きていきたい。