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マルクの眼

千字一夜

火が消える


秋らしい記事を書こうと思ったらクソポエムが生まれたので、世に出す前に殺した。
なんてことはない。今の気持ちを全て代弁してくれるのは東京事変の落日だったというだけ。同じ心を僕の言葉で焼き直す必然はない。

体調が悪い日に強く感じる虚しさや辛さの原因が分からない。当たり前のことが当たり前に起きる毎日のはずなのに、何か感じずにはいられないようだ。

不可解な自殺と言われるものの心理的要因も存外そんなところかもしれない。顔料がついた布を見るだけで何かを感じるのが人間らしいなら、何気ない日常に負の感情を抱くのも人間ならではだ。

「退屈な毎日」というような生に飽いた老人或いは狂人の感覚を持っているわけではないけど、この先もこのくらいの事が毎日起こり、このくらいの事が起きて驚き、このくらいの事で悲しんで、このくらいの事で喜ぶ。
そんな先の見通せた人生のパターンに入ってしまったのが分かる。

この先、選択肢はいくつもあるが、人生が進むにつれて段々と賭けの規模が大きくなっている。安定した生活を担保に、より上に進むか下に落ちるか。賭けを蹴って現状を維持することがリスクが少ない最良の選択のように見える。
一世代前にはそんな賭けのチャンスすらなく、一度乗ったコースを淡々と歩くのみで、今は賭けの成功例ばかり目にする。

安定を嫌いながらその安定を捨てられない人間の妄言。