マルクの眼

千字一夜

それからの部屋


思い立って部屋の整理をしている。
お分かりの通り、ブログを書いてるってことは整理が進んでいないってことだ。

捨てなきゃいけない不用品の中には、2年弱の間好きだった人に関わるものが多い。
割に露出の多い人だったから、顔写真の入ったものがあって処分がつらい。

彼の趣味は美術鑑賞や観劇で、付き合ううちにそれらは僕の趣味にもなった。一緒に観に行った公演のパンフレットを見ると、所謂サウダージ的な感情が湧いてくる。愁、秋の心だ。
いまや趣味は自分の一部でもあるし、処分はしたくない。見るたびに思い出す生活を甘んじて受け入れるしかない。
ご高尚で美しい思い出もくたびれた生活の中でそのうち擦切れるだろう、と期待をしている。

20代も半ばに差し掛かって、体調や恋愛に精神を振り回されるような生き方は恥ずかしい。そんな生き方をしていい人間はある程度限られていて、少なくとも自分ではないと思う。

歴史上の偉人たちは存外奔放な恋愛をしているけど、後世に偉人と呼ばれるだけの結果を残している。それは恋愛に精神や信条を振り回されていないからだ。そのメンタリティが偉人を偉人足らしめる所以かもしれない。

とにかく早く部屋を片付けて心に平穏を得たい。散らかった部屋の片付けをした偉人として後世に名前を残したい。